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【レポート】五感で最も嘘がつけない「嗅覚」を利用したウェルビーイング経営のヒントとは

《ウェルビーイング》なマインドが企業にも求められるなか、従業員のストレス軽減についても関心が集まっています。今回の記事は「嗅覚」の性質を利用して自己分析が行える『嗅覚反応分析』を利用して新入社員の心を整える取り組みから、ウェルビーイング経営のあり方を探る体験レポートです。

【取材協力】Ayame Organic https://ayameorganic.com/

 

今、求められている《ウェルビーイング経営》

 

これまで日本では、過重労働や医療費増大などの社会課題に対して『健康経営』の概念が広がりを見せていました。しかし昨今では従業員の健康管理だけではなく、健康も内包したうえで従業員の『幸福』を指標とする『ウェルビーイング経営』に注目が集まっています。

 

従来の『健康経営』は、不調に陥っている従業員を早期に発見、治療して復帰までを支援することに重点を置かれており、ネガティブの解消を目指す「医師的思考」が強い概念でした。しかし『ウェルビーイング経営』においては、従業員の生活習慣改善やワークライフバランス、業務を通した生きがいや幸福感を一緒にデザインしていく。いわばポジティブの創造を目指す「シェフ的思考」が強いものなのです。

 

 従業員のウェルビーイング向上によって企業の生産性アップや成長を目指す取り組みを、部署ごとではなく経営の視点で統合していくことが求められています。

 企業は、従業員を含めたステークホルダーに対して、ウェルビーイングへの考え方を示さなければブランド価値を保てない時代になりつつあるといえるでしょう。

 

香りで整える、従業員の心と関係

 

具体的な『ウェルビーイング経営』のヒントとして、ポジティブ心理学の父といわれるアメリカの心理学者、マーティン・セリグマン博士が提唱したウェルビーイングの多面的モデル《PERMA-Profiler》があります。

 

主観的幸福感(well-being)の5領域 PERMAモデル(selingman,2011)

 

これら5つの領域、P(Positive emotion=ポジティブな感情)E(Engagement=積極的な関わり)R(Relationship=人との関係性)M(Meaning=自身が存在する意味)A(Accomplishment=達成感)について感じることが多くなれば、人はウェルビーイングな状態であるというモデルです。

これらの領域を従業員に感じてもらえるような取り組みを経営アクションに取り入れていくことが従業員のウェルビーイングを向上させていくことにつながります。

 

そこで、今回は『ウェルビーイング経営』のヒントとして、《Relationship》、すなわち人との関係性を『香り』でアプローチしていくアクションをご紹介したいと思います。

 九州博報堂では、新入社員教育の一環として《トレーナー・トレーニー制度》を用いており、新入社員たちは所属部署が決定した段階で、一人の先輩社員をトレーナーとしてマンツーマンで仕事の基礎を学んでいきます。

 

そんなマンツーマンの関係を築くにあたって、建前ではないホンネの気持ちや性格をお互いに理解してもらうために、嗅覚によって現状の心理傾向や思考傾向を分析する《嗅覚反応分析》を取り入れたカウンセリングを実施しました。

 

嗅覚反応分析とは

 

嗅覚反応分析とは、8種類の香りを嗅いで、その時に感じた好きな香りと嫌いな香りを並べ替えるだけで、その時の心理状態やその人の本来持つ思考傾向を分析できる方法です。アスリートマネジメントや健康管理、教育機関など幅ひろい活用方法があり、様々な方面で利用されています。

あらかじめトレーナートレーニー双方の心理状態や思考特性を知ることでコミュニケーションギャップをなくすために嗅覚反応分析が活用されているとのことで、

九州博報堂人事部長の藤原秀昭氏は「記入式のストレスチェックや適性検査では、取り繕った答えを記入することができますが、香りに対する直観的な感覚には嘘がつけません。自身でも気づけなかった心理状態や思考傾向を把握できるツールとして活用しています」と今回の導入について説明してくれました。

今回のカウンセリングについては、九州を中心に嗅覚反応分析プログラムを提供されている《Ayame Organic》に協力いただきながらの実施になりました。

《Ayame Organic》代表の徳永真夕氏いわく「近年、リモートワークやフレックス勤務など多様な働き方のワーカーが増えたなかで、本来ストレスを軽減してくれるはずの働き方が、人間関係の希薄化や従業員の精神状態のチェックが難しくなったりと新たな問題を生んでいます。自身のストレスを緩和できるアロマアイテムをワークスペースに置くだけでもストレス軽減につながりますし、リモートワークで見えてこない従業員のストレスや本音の心理状態を把握することにも嗅覚反応分析は役立ちます」とのこと。

働き方の多様化が進む今だからこそ、それぞれの従業員の心の状態をケアしていくことが企業には求められています。

 

従業員の関係性をつくるカウンセリング

 

今回のカウンセリングは、事前に配布された嗅覚反応分析キットを用いてそれぞれのメンバーが自宅で事前のチェックを行い、当日には《IMチェック結果》というそれぞれの参加者の心理傾向や思考特性がまとめられたシートをもとに進められました。

新入社員たちは環境の変化から間もないこともあり、ストレスが高い傾向が浮かび上がりました。今回参加したメンバーに多く見られた傾向としては、分析、計画などの思考特性が活発で、考える前に動くタイプは少ないという結果だったそう。

新入社員とトレーナー、交互にカウンセリングを行い、自身の心理傾向や思考傾向をもとにした心のバランスの整え方や悩みやすいポイントについて把握。

そして、最後に2人にお互いの思考傾向などを伝えることで、今後のコミュニケーションのあり方やお互いの傾向から、お互いの「心地よい関係性」をカウンセラー交えてディスカッションが行われました。

参加者からは「これからチームとして動いていく人が「こんな考え方をしてるんだ」とあらかじめ話し合って理解できたことで、これからどんなコミュニケーションをすることがお互いにとって心地良いのか。知ることができて安心できました」と好評な声が聞こえてきました。

従来、従業員同士に任せがちだった相互の信頼関係の構築ですが、あらためて第三者を介した特別な機会を設けることによって新入社員やトレーナーにとって安心感をもってこれからの日々を過ごしてもらえる要因になっていました。

 

これからの社内コミュニケーション

 

『ウェルビーイング経営』のヒントとして従業員同士の関係性に『香り』でアプローチするアクションについて紹介してきました。

企業内における『人と人との関係性』は働き方の多様性と反比例して希薄になりがちです。特に2020年以降リモートワークが業務の中心になっている業態も多く、社内のメンバーですらどのような人なのか分からない。という声も多く聞かれます。

また、多様な働き方だからこそ、従業員の心や身体の不調を周囲がキャッチアップしづらい環境であるともいえるでしょう。

そのような中で従業員のウェルビーイングを向上させていくためには、企業側の受け身ではない、能動的なストレスチェックや社員間コミュニケーションのデザイン。そして肯定的な関係性を築いていくアクションそのものが大切なのではないでしょうか。

TEXT BY

yujiro takahashi
高橋佑二郎

九州しあわせ共創ラボ 主任研究員

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