4月9日は「子宮の日」。福岡(天神)駅直結のビルで産婦人科・内科・皮膚科に対応しているゼロマチクリニック。診療にもあたられている古賀先生に、子宮頸がん・低用量ピル・女性のウェルビーイングについてお話を伺いました。 後編では、若年で発症の多い子宮頸がんとその予防について、お話いただきました。
‐ピル=避妊 という印象を持たれている方も多いと思います。他にどのような効果・用法があるのでしょうか?
低用量ピルは、様々な病気に対して処方されているお薬です。避妊目的でも処方しますが、一番多いのは生理痛、正式名称は「月経困難症」です。生理痛で日常生活に支障をきたしている方の生活改善のため、低用量ピルを保険適用で処方しています。避妊やPMS(月経前症候群)に対しては保険適用外ですが、生理痛改善で処方されることにより結果的に、PMSも改善されたというケースも多いです。低用量ピルは基本的にホルモン治療で使用されるお薬なので、子宮内膜症などにも処方されます。 来られる方は、「低用量ピルを処方してください」もしくは「生理痛がひどいので何とかしてください」と言われるケースが多いです。生理痛に対しては、ロキソニンや漢方薬を処方する場合もあり、患者さんにご説明・ご相談しながらお薬を決めています。
‐生理痛が辛いという女性には嬉しいですね。副作用などはあるのでしょうか?
一番多いのは頭痛や吐き気といった症状ですね。副作用については個人差があり、全く変わりない方も。他には、血の塊ができやすくなる血栓症という症状や不正出血です。 血栓症を気にされる方が一番多いですね。血栓症の発症確率は、服用している人で1万人に対して3~9人、していない人の確率は、1万人に対して1~5人です。2倍になるというと驚かれると思いますが、1万人あたりの発症数なので絶対リスクとしては低いと言われています。もちろん、副作用については最初にきちんとご説明して、患者さんに判断いただき処方するようにしています。
‐オンライン診療もされていますが、低用量ピルも処方されているのですか?
はい、オンライン処方もしていますよ。初診は来院いただいて、再診の時にオンラインで処方することが多いです。保険適用の時は、患者さんにもよりますが、初診で子宮や卵巣に問題がないかの診察や子宮頸がん検診も受けていただいて処方しています。
‐ゼロマチクリニックでは、産婦人科で受診される方が多いのですか?
はい。患者さんの9割が女性、その内7~8割の方が産婦人科を受診されます。「妊娠検査薬が陽性になった」を理由に受診される方も多くいらっしゃいます。特に、日曜日は多いです。 他には、生理不順・オリモノ異常などの感染症・がん検診、先程から出ているピル処方や 不正出血など様々です。女性の患者さんの平均年齢は、開院からずっと28歳ですね。 妊娠検査薬が陽性になったという患者さんには、出産までのスケジュールなど妊娠初期の概要をご説明しています。2回目以降当院に来院してもよいし、妊婦健診や出産予定の医療機関を決めてそちらに転院してもよいですよとお伝えしています。2回目以降、転院される方が多いですね。 妊婦検診は実施していないのですが、妊婦さんが受診されることはよくあります。場所柄、土日も診療しているからですが、出血したので診察して欲しいなど、緊急対応することもあります。 来院されて、女医さんがいいからと帰られる方はいらっしゃいます。2023年4月からは女医さんが来られるので間口は広がるかなと思います。
‐以前のインタビューで、医療の仕組みを変えたいといわれていました。伺ったアイデア・方針や事業展開で変わったところ、新しい構想などあれば教えてください。
先程もお話したように、ゼロマチクリニックを開院してから、来院される患者さんの9割が女性で、受診項目も10種類程度に集約されています。産婦人科としては、狭い領域で医療提供してきたなと思っています。一方で、受診者の分母が最も大きい領域に取り組んできたなという実感があります。 2022年4月から不妊症も保険適用になりました。当院は、産婦人科のプライマリケアの部分で大きなニーズがあるので、引き続き診療内容を絞って医療提供していきたいと思います。 福岡って女性が多いんですよね。不正出血をしても、いつものかかりつけ産婦人科が診療時間外だったり、予約が空いてなくて受診できないといった声も多く聞きます。 想いに賛同してくれるドクター仲間も増えているので、多店舗展開することで、福岡の女性のウェルビーイングに貢献していけたらと思いますね。
‐受診しづらいとの声も多い女性の産婦人科へのハードルが更に下がりそうですね。 同じ女性としてはとても嬉しいです。
待ち時間が発生するのは、診療にかかる時間の見立てが悪いからだと思っています。 事前に患者さんの情報を聞いておく、初診の方は診療時間を長めに等、情報や受診状況から診療時間を判断することが大事です。選択と集中を実行し、診察時間を20分を目安にして診療内容を絞ることで最適化が実現できます。 重症な疾病は、別の医療機関を受診してもらう。なんで診てくれないのというお声や不満を持たれるケースもあるでしょうが、受診の敷居を下げて最大限の患者さんを診療する。 それが自分の考える女性のウェルビーイングに対する答えの1つだと思っています。
‐古賀先生は、校医やアスリートのサポートなどにも尽力されています。その面から女性のウェルビーイングについて思われることは?
2年くらい前に取った高校生を対象としたアンケートでは、半数くらいの人が、低用量ピルや生理の悩みについての説明・相談を望んでいました。 生理の悩みの半数は、生理痛です。対処法としては、我慢するというのが大多数。 我慢できる痛みならよいのですが、他の病気の症状として痛みが発生している可能性もあります。 性教育など、学校の先生も指導要領に沿ってしか話ができません。保健室に常駐している方の多くは看護師さんで医療の専門的なことまで説明するのは難しいというのが現状です。 やはり、早く気軽に相談できる場があることは必要なことだと思っています。 サポートを通じて、20歳前後まで生理が無いというアスリートの方も多いというのを知って大変問題だと思っています。成人まで生理がないと、骨粗鬆症や不妊のリスクが上がってしまいます。アスリート人生の次のステージで大きな影響を受けるケースも多いのです。 最近では、妊娠したくないタイミングであれば、生理は必要ないものなので生理をストップするのがよいという考え方もあります。 昔に比べて、現代の女性は生理の回数が非常に増えています。初経の低年齢化と出産回数の減少、生涯妊娠期間が短くなっているというのがその理由です。 低用量ピルで排卵を止めることで、卵巣がんのリスクを下げられる。一方で乳がんのリスクは上がるのですが。 人生の選択は、その人それぞれの考え方でなされるべきだと思います。正しい情報を知って選択することと、知らないで日々を過ごすことは、まったく違うと思います。 この記事が、正しい情報を知る機会の一つになればと願っています。
※記事内容は、2023年3月中旬現在のものです。
24時間、いつでもどこからでもスマートフォンやPCから受診予約が可能。事前の問診もWEBアプリケーションで。10分刻みで予約を入れることが出来ます。
診察の前も後も、待ち時間の短縮が実現。処方箋送信アプリもあり、薬の受取もスムースです。土日祝日も受診でき、20時まで診療してもらえるので会社帰りの受診も可能な“受診者ファースト”のクリニックです
※平日・土日祝 9:00〜20:00 (休診日 火・水曜日/休憩 14:00〜15:00)