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廃校になった小学校を人間の想像力で蘇らせた田川「いいかねPalette」の挑戦

福岡の緑豊かな街「田川」ここに、廃校になった1つの小学校があります。

今この小学校はレコーディングスタジオであり、ホステルであり、シェアオフィスであり、自由に学校を使って遊べる空間でもある。

そんな新しい場所に、生まれ変わっています。

名前は、「いいかねPalette」

小学校を使って、新しい場をつくる。そんな場作りにチャレンジしてるBOOKの代表代表取締役の樋口さんと、青柳さんにお話をお聞きしてきました。

(写真左から樋口さん、青柳さん)

東京から挑戦の場を田川へ

樋口さん:ずっと東京で音楽をやってました。お金には困ってなかったんです。社員も増え、自主スタジオも作ったりして、右肩上がりでした。でも、どんどん規模は大きくなり、責任は増えるし、もらう額も大きくなってきて。苦しくなってしまった時期があって、音楽を作る仕事の次を探してたんです。

そんな時、この田川の廃校を活用するプロポーザルが始まったんです。友達から「こういうのがあるから応募してみなよって」連絡きて「これしかない」と思ったんです。

 

Q:相当な覚悟を持ってやられているとお聞きしました。

樋口さん:失敗は許されない気持ちでやってます。この場所は田川市が力を入れてやってる事業で、僕らみたいな30代がチャレンジングなことをしていいよ。と市が言ってくれて、協力も沢山してくれてる。その中で、僕らが失敗してしまうとチャレンジングなことをしても結局無駄なんだという空気が蔓延してしまうと思うんです。「若者に任せるき、結局そうなるやろ?」って。

 

田川は課題先進地域である

樋口さん:もっと広げて言うと、田川って日本の中で相当キーになる場所だと思ってるんです。貧困率が高いとか、学力が低いとか結構問題を抱えています。

でも、ある人が「おそらくこれから何処の田舎も田川と同じ道をたどっていく」と言っていて。「人口が減っていくことによって、稼げる産業がなくなる、学力の低下も起こる。そんなことがどの田舎にも起こる。田川は価値が低いんじゃなく、進んでいるんだ」と。なるほどと思いました。

田川も、まだ山があるとか海があるとか、歴史的建造物とかあれば、人を呼べる資源だと思うんですけど、田川は稼げるリソースはない。でも、ほとんどの田舎ってそうだと思んです。そんな田舎で成功事例をつくれるかどうかって、結構重要だと思っています。

田川は、昔、石炭の名産地で、石炭は黒ダイヤと呼ばれていた。白ダイヤというのがあって、これは石灰石。これから田川は、第三の資源をここで掘らなきゃいけないと思うんです。僕は虹色ダイヤと呼んでいるんですが、これは人間の頭にある想像力だと思うんです。

 

人の想像力が価値を生み出す

樋口さん:東京で音楽作っているときに思ってたことなのですが、発注があって、さぁ作ろうと思ったときには何もないんです。でも、数日後には音楽データがパソコン上にできる。これを納品したらお金が入ります。でも、これって電気代だけ。あとは僕の頭にあるものですよね。0から価値を生み出すってこういうことだなと。

廃校活用も一緒だと思うんです。ゴミじゃないですか。処理にお金がかかる。維持にお金がかかる。そんな廃墟に人が価値をつけることによって輝きだします。

僕らが今からやらなきゃいけないことって、人間の想像力とか、何か価値を掛け合わせたり、足し算することによって生まれます。何もない地域だからこそ、真剣にやっていきたいなと。

 

Qこういうことは青柳さんと2人でよく話されたりするんですか?

青柳さん:そうですね。ちょいちょい話しています。やるだけやってみる、っていう気持ちなんですよね。ここまで来ちゃってるんで、ちょっとした突風吹いたら、潰れちゃってもおかしくないんです。

でも、それに気を張っていてもしょうがないんで、僕らはやれるだけやったらいいんじゃないかと思ってるんです。そもそもが結構なチャレンジだと思うことが多いんですよ。

交通手段も良くはない。田川市の中でも外れの方だし、田川市は日本の外れの方にあるし、どれだけここで楽しんでやれるかをチャレンジしてます。

 

未来のための幸せの我慢より今の幸せを大切にする

Q幸せについてお聞きしたいんですが、今の状態は幸せですか?

樋口さん:幸せですね。悩みはお金くらいです。でも、お金があって未来への希望が分からなくなってた時期より、今よっぽど幸せで。

音楽をやってた頃は、未来の幸せのために我慢することが多かったんですよ。目の前の人を僕が作った音楽で喜ばせること自体はめちゃめちゃ幸せだったんです。でも、その幸せのために、毎日毎日パソコンの前に座って、ものすごいスピードでひねり出すのを、毎日毎日やるのが、命燃やしてやる感覚だったんです。それがキツくてキツくて。

今の生活の方が、直結してる。日々の活動と幸せが、より直結してるんです。

今はお金はないけど、お金って幸福度を得るための道具じゃないですか?一回仕事ってお金に変換されることが多いですよね。そのお金を幸せに変換する。でも、活動自体が楽しければお金にこだわらなくていい。今人生史上一番お金はないんですけど、お金がなくても楽しいことが増えました。子供をお風呂に入れるだけで結構楽しいんですよ。

青柳さん:東京にいた時の方が遊ぶ場所も多かったし、遊ぶためのお金もあったし、今の方が確実に貧乏ではあります。でも、楽しいんですよね。お金ないけど、楽しいって思えるって。結構回り道してると思うんだけど、道中が楽しい。幸せってそういうことなんじゃないかなと思ってます。

今の僕らの周りにも仕事や活動を楽しんでいる人が多いんですよ。そこにお金があるからというのは関係ない。お金よりも家族との時間をとても大事にしていて、何かそれはそれで、裕福な東京の独身の知り合いよりもよっぽど満たされているように見えます。だからお金を稼ぐだけが正解じゃないし、世の中はそういう方向に動いてるんだろうなと。何となく最近そう感じています。僕らも毎日、どう儲けようか考えながらも、幸せの指標って「お金を稼ぐ」以外にも色々あるんじゃないかと思っています。

幸せってハードルの調整

樋口さん:実は昔お笑い芸人をやってたこともあるんです。音楽で成功した後に、吉本入ったんです。でも、ネタをしても全然受けない。そんな中、10代のやつらがウケてるの見て「なんてとこ入ってしまったんだろう」って思う毎日で。でも、三ヶ月くらい経った時に、一度、死ぬほどウケた時があってその時めちゃめちゃ嬉しかった。これって客観的かつ、絶対的な指標でいうと、音楽だとお金をもらえて世の中にもインパクトを与えることができるんだけど、1円にもならない教室の中数十人に1回受けることの方が、僕の中ではものすごく幸せに感じたんです。

これってシンプルな言葉でいうと、幸せのハードル調整だと思うんです。幸せのハードルがどんどん高くなると、それを飛び越さないと幸せを感じれないので、高く飛ぶためにどんどんと大変になってくる。それなら高く飛ぶよりもハードルの高さ自体を低くした方が実はすごく幸せになれるんじゃないか?と。幸せのハードルの調整っていうのが、今後の世界で重要になってくると思ってます。

青柳さん:人と自分を比較しなくなったのもありますね。東京の時とか、比較しちゃってました。それをしちゃうと不幸度が高い。人の成功を気にし出すとキリがない。こいつなんでこんなにお金持ってるんだろう?とか。そういうの田川に帰ってきて、田川自体を盛り上げるぞーってやってたらなくなっちゃいました。

東京から帰ってきたからこそ、その生活と比べ、
新しい幸せのカタチを見つけ出している樋口さん、青柳さん。

その挑戦をQラボでは、これからも応援していきたいと思います。

Qラボ編集部

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