Qラボ 九州しあわせ共創ラボ

vol..A1級ボートレーサー (佐賀支部)
上野 真之介選手

九州で輝く人々と対話することで、九州の女性たちが自分らしく、しなやかに生きていくためのヒントを探ります。九州から女性たちをエンパワメントするQLABが研究する「セルフラブ」を軸としたインタビューです。今回はボートレーサー最高ランクのA1級レーサーとして活躍されている、上野 真之介選手(佐賀支部)にお話しを伺いました。

―「自分であるために」ボートレーサーになりたいと思った。

落合)ボートレーサーを仕事として選択した理由を教えてください。

上野選手)学生時代、2番目の兄と自分が陸上をやっていました。兄がインターハイにいくような実力ある選手でした。僕は陸上をやるからにはプロを目指したいと思っていたけど、自分はある程度やり始めた段階で限界が見えてしまった。

高校1年生のある日、兄が漫画モンキーターンを持ってきてくれて。(ボートレースが舞台の人気漫画。河合克敏作)身長が低くてもなれるプロの選手があるんだ!と驚きました。当時ボートレースからつの近くに住んでいたんですけど、選手や施設の雰囲気を含め、ボートレースに対して正直あまり良いイメージがなかったんですよ。でも、レースを見に行ったらかっこよさに魅了されました。高校3年生の時までにプロスポーツ選手になりたい気持ちがあれば、ボートレーサーを目指そうと考えました。三者面談の3日前とかにボートレーサーになる、と親に伝えて反対されたけど、20歳までは我儘通すと決めて高校卒業と同時に養成学校を受けました。最初の2回は落ちましたねー。思ったより受からず、1年

間はフリーター生活でした。約2,000人受験して50人受かるような厳しい世界でした…。学校に入ってからの生活もめちゃくちゃ厳しかったですね。ここでは言えません(笑)

落合)プロのスポーツ選手になりたい気持ちが大きかったのは、なぜでしょう?

上野選手)やっぱり、兄と比べられることが多かったんですよね。自分は有名な兄の弟、という存在。自分自身も兄と比べていた。きちんと自分でありたいと思ったところが一番の理由かもしれないです。

落合)今はどうですか?

上野選手)今は誰かが「ボートレーサー上野 真之介」として応援してくれたり、兄たちも自慢してくれたりしていて、とても満足しています。そしてファンの声が聞こえるようになりました。横断幕を送ってくださったり遠い会場にも来てくださったり。タイトルとってください!とか。自分個人の人生としては夢だったプロスポーツ選手になれて幸せで満足しているけど、ボートレーサーとしてはタイトルをとってファンに恩返しをしたい。そんな責任が増えた気がします。本当は、ただ楽しくやっていたいんですけど(笑)自分は選手になれて良かったと思っているので、小柄な人でもプロスポーツ選手になれることをもっと知ってほしいですね。子どもたちも気軽にボートレース場に遊びに来て、ボートレーサーになりたい!と思う子が増えてくれると嬉しいですね。

 

落合)私は初めてボートレース場に来たんですけど、自分の目線の高さで迫力あるレースが見れて興奮しました。施設内もとてもきれいですよね。おしゃれなブックカフェやボルダリング、キッチンスタジオなど設備の充実さにただただ感動していました。(笑)子どもが遊べるスペース「Mooovi」とか年齢ごとの知育玩具が充実していながら入場料300円*¹ってすごすぎますよね。すぐ子どもがいる友人に情報をシェアしました。

上野)本当は僕も子どもと一緒に遊びたいんですけど、なかなか難しくて残念です。もっと親子で来てくれている人が増えてほしいですね。

―ボートレースは男女ともに自分の評価を自分で出せる対等なスポーツ。

落合)ボートレースは女子選手も多く、しかも男女混合のレースもあるんですよね。女子選手の活躍はどのような感じですか?

上野選手)ここまで対等に男女が戦えるスポーツってないかもしれないですね。訓練中から男女は一緒だし、むしろ女子選手の方が上手なこともありました。同期ですごいタイトルをとった人もいます。僕は完全に対等で見ていますし、自慢できる選手たちです。

落合)ほんとかっこいいです!!今度男女混合のレースを見てみたいです。もっと一般の方々にも気軽に応援できるようになってほしいですね。

上野選手)どうしてもギャンブルのイメージが先行しますが、僕たちのことをスポーツ選手として見てもらいたいですね。乗ると意外と難しいんですよ。やっぱり真剣勝負だから楽しいことばかりでもないですが、自分の評価が自分で出せることが僕は嬉しいです。

落合)上野選手は自分らしさを表現する形がボートレースだったんですね。

―心身を整えることがレースの結果に繋がり、自分を認めてあげることができた。

上野選手)そうですね。ただ、やっぱりプロスポーツなので結果を出さないと自分らしくあることが難しいなと思う点もあります。一度A1(ボートレーサーの階級で最高ランク)から落ちたことがあります。レースのために目の前のいろんなことを上手くやらなきゃ、と考えながら行動できずいっぱいいっぱいになっちゃって。心身ともにボロボロでした。その時、誰のためにやっているんだろう?人からどう見れれてもいいや、とふっきれました。誰のためでもなく、自分のために体のケアやトレーニングを重視したら良い結果が出ました。今は自宅にトレーニングルームを作って、トレーナーさんに来てもらってマッサージまで教えてもらったり、栄養面では鉄やプロテインも意識的に取り入れながら自分の調子を整えてレースに挑んでいます。

落合)身体的なケアを重視していくと、精神も安定して結果も出た…まさにウェルビーイングですね。

上野選手)そうですね。僕は結果が出るのが遅い方でしたが、結果が出るまでやり続けることは大事だと思います。この10年間本当にきつかったですけど、これまで頑張った自分を認めてあげることができました。自分の弟子には、結果を出す前に、「今」頑張っていることを認めてあげられるようにサポートしてあげたいですね。それが努力を続けられるポイントだと思います。

落合)お話を伺っていると「セルフラブ」の考え方をとても大事にされているような気がしました。

上野選手)とっても大事だと思います。僕は時間がかかりましたが、若い子たちには早くから自分に自信を持ってもらえるようにサポートしたいです。一人でずっと保ち続けるのはキツイですよね。実際は、上の世代の人たちが理解できない部分もある。上の人たちが若い子たちに寄り添うことが重要だと思います。ちょうど僕は真ん中の世代なので両方の考えが分かる立場。どちらかの考えを否定するのも違いますし、難しいです。

落合)周りを否定しながら自分だけを肯定してくれ、と強要するのも少し違いますしね…。誰もが自分らしくあることを受け入れられるように、お互いの違いを含めて認め尊重する優しい世界になることが理想なのかもしれませんね。

上野選手)僕、一日一回「幸せだ~!」って思うことを見つけるゲームやっています。(笑)みんなが自分の幸せになれることを見つけて幸せに暮らしていきたいですね。唐津はある意味で何もなくてゆっくりできるところが魅力。アクティブな方はサーフィンやSUPをしていますが、僕は子どもとずっと散歩しています。しっかり休んでまた次のレースに挑みます。

自分らしくあるために、職業としてボートレーサーを選択。レースの厳しい世界で第一線で活躍する上野選手。

プロスポーツであるが故、シビアに出てくる結果と周りの評価、理想の自分と現状の自分のギャップにもがいたご経験もある中で心身のケアを重視しながら努力を積み重ねることが成果に繋がったと語っていただきました。結果を出すためにも、自分をコントロールし、鼓舞するようなセルフラブのモチベーションは重要であると気づかされました。

ご自身の経験をふまえ、成功したいともがく下の世代に、まずは自分を肯定してあげられるよう導くという上野選手のお話しが印象的でした。

一人ひとりが自分自身を認めることは簡単なことではありませんが、周りの方と協力しながら互いを認め合うことは出来るのではないでしょうか。

*¹インタビュー内でお話ししているMoooviはレース開催日と非開催日で入場料が変わります。

レース開催日:大人300円(ボートレースからつ入場料100円+モーヴィ利用料200円)
レース非開催日:大人300円(モーヴィ利用料300円)

PROFILE

A1級ボートレーサー (佐賀支部)
上野 真之介選手

ボートレースの階級でトップのA1級で活躍するボートレーサー。佐賀支部所属。佐賀県唐津市出身。

<カメラマン>
多小谷 享 Takotani Susumu
「心が震える」映像と写真を制作。
自転車とうどんとグミも好き。

TEXT BY

Q女LAB(落合沙優)
Q女LAB

Qインタビュー

− 九州で、社会の第一線で活躍する人から学ぶしあわせのカタチ −

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