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  • 中学生自己表現家の中井けんとさんは、なぜ「こどもばんぱく」をつくったのか。〔前編〕

vol.11自己表現家・イベンター こどもばんぱく主催
中井けんと さん

昨年、福岡で開催された一日で1,000人以上の来場を記録したイベント「こどもばんぱく」をご存知の方はいるだろうか?主催者も出店者もみんなが子どもであるというユニークなイベントだ。今年は来場目標を2,500人に拡大するという大きな夢を抱く、「こどもばんぱく」主催の現役中学生の自己表現家中井けんとさんにこどもぱんぱくを開催する思いについて聞いた。

中学生自己表現家中井けんとさんが生まれた日
「自分の気持ちを表現することは自分を肯定するツールです」

僕は、小学5年生の時にいじめにあって軽い人間不信になりました。そのショックで不登校になったので、「いじめって悲しいよね」という絵本を描いたんです。その絵本を子ども向けのワークショップイベントで売ったら、持って行った5冊が全部売れたんです。人から「おもしろいね」と言われて、絵本を買ってもらったことで、僕が不登校である現実が肯定された気がしたんです。そこで僕は、自分の気持ちを表現することは、もしかしたら自分を肯定できる一つのツールになるんじゃないかと気づいたんです。

そういう思いに気づき始めた時に、たまたま友達から相談を受けました。「やりたいことがあるんだけど、親とかお金とか学校がSNS禁止とかで、やりたいことができない」という内容でした。それを聞いて、僕は、やりたいことをやれなかったら、そのストレスが溜まっていじめにつながるかもしれないなと思ったんです。

それで、こどもばんぱくというイベントを開催しようと思いました。こどもたちが出店者というかたちで、お客さんに自分のやりたいことをアピールできる場所をつくろうと

子どもたちが自分で考えたことを、実現する力を広げたい

こどもばんぱくは、子どもたちが開催するワークショップイベントです。子どもが主催し、子どもが出店者とスタッフもやります。昨年は約1,200人の方が来てくれました。今年の来場目標は、2,000から2,500人です。

出店する子どもたちは、自分のやりたいことを自由に考えて、お店でかたちにします。例えば、手作りのアクセサリーを売ったり、ゴム銃を作るワークショップイベントをしたり。「今、子どもたちはこういうことを考えていて、実際ここまでかたちにできる力があるんですよ」ということを伝えるイベントですね。

子ども達はイベントで提供する品物や体験を売ることで、お金を稼ぐ体験もします。結果として、赤字だった子も黒字だった子もいます。僕から、出店する子どもに原価を何割にしたらよいか言うことはありませんが、原価が大事という話をすると、ほとんどの子どもは自発的にインターネットで調べていますね。僕はそれがすごく大事だと思っています。

「子どもの可能性を体感してもらうこと」というコンセプトが実現できて嬉しかった

去年の「こどもばんぱく」の出店者には、小学1年生から中学3年生までいました。

すごいと思ったのは、「壊し屋さん」ってお店です。子どもたちは毎日ストレスを抱えているから、ダンボールをひたすらぶっ壊そうというお店でした。ダンボールを壊している子ども達の顔を見たら、鬼のような形相でした(笑)。

もう一つは「子ども歴史カフェ」。幕末が大好きすぎて大学の先生と語り合えるくらいの小学6年生の男の子が「幕末は素晴らしい時代なのでみんなに教えたい」と思って出店したお店でした。

彼はすごくて、「カフェにテーブルと椅子を並べたお店じゃおもしろくない」と言って、八女の本格的な簡易和室を作っている企業さんにプレゼンしに行ったんです。そうしたら、その企業さんが、イベントの日にわざわざ簡易和室を持ってきてくれたんです。そのすごい和室でワークショップを開催したのですが、子どもが来ると思っていたのに、大人がいっぱいでショックだったと言っていました(笑)。

僕が一番嬉しかったのは、子どもの出店に反対していた友だちの親が、昨年のこどもばんぱくに来て、「来年はうちの子も出店させようと思う」と言ってくれたことです。「子どもの可能性を体感してもらうこと」が実現できて嬉しかったです。

交流することで、仲間を増やしていく

こどもばんぱくを開催する前は、いろいろなイベントや交流会に参加して仲間を増やしていきました。影響を受けたイベントは、FUKUKON(福岡発、”福岡を愛する人を全力支援!”という主旨の全員参加型のプレゼン&ブレストイベント)というイベントです。今は、FUKUKONには見習いスタッフとして参加させてもらっています。

福岡は東京ほど人がいないので、ある1人のインフルエンサーとつながったら、その方に関わることで、いろんな人と話ができるので助かります。

「こどもばんぱく」をやろうと思った時に、交流会で以前に知り合った大人の方達に「こういうイベントがやりたい!!」とSNSで告知しました。普通のサラリーマンだったり、プログラミング教室を運営されている方だったり、さまざまなバックグラウンドの方達が手伝ってくれました。

最初は人に頼らずにカッコ良いイベントを創ろうと思っていたんですが、途中で僕には無理だなと気づいて、「みんなで創るイベントにしよう」と思ったんです。実は、こどもばんぱくってイベントの題名は僕じゃなくて他の人が決めたんですよ。だいたい重要なことは他の人に任せて、僕はFace bookで告知をしています。

今年から、僕の他に5人の子ども運営スタッフが増えました。彼らとの出会いは交流会です。「運営委員会を募集している」と話したら、「スタッフに入りたい!」と言って入ってくれました。みんな参加のきっかけにあまり深い理由はなくて、「おもしろそう」という気持ちで参加してくれます。僕もおもしろそうと思う気持ちが大事だと思っています。

彼らは、月一で集まって、活動のアイディアを一緒に出してくれています。
例えば、資金集めのクラウドファンディングで、目標金額を達成させるのにどうしたら良いかなどです。

その時のアイディアで、僕のFacebookに毎日クラウドファンディングのことを投稿することになりました。「毎日クラウドファンディングの投稿を見るくらいだったらお金を入れよう」という気になってもらう作戦でした。毎日やり続けることが大事で、僕のFacebookはクラウドファンディングの投稿しかなくなりました。

このアイディアはけっこう効きました。「毎日クラウドファンディングの投稿を見るのが嫌だから3千円入れた」という人もいました(笑)。

やりたいことを実現するために、「おもしろそう」でつながる 

こどもばんぱくで、一番大変なのは資金集めです。

昨年は実績がない状態だったので、企業協賛は出してもらえないだろうということで、クラウドファンディングから始めました。「こどもばんぱく」も自分もまったく知られていない状態からのスタートだったので、イベントや交流会にたくさん参加して、まず知ってもらうことから始めました。

今年は後援として福岡市や福岡県などの行政にも応援をいただいています。きっかけは僕のSNSで、「後援が欲しい!」と募集をかけたんです。そうしたら以前イベントでつながっていた市役所の方が「手伝いますよ!」と言ってきてくださって。その市役所の方が行政の方々につないでくださいました。そこから福岡市や福岡県などの行政から後援をもらえたことで協賛金をいただけました。とてもありがたかったです。

協賛企業さんとのつながりもSNSでのつながりです。紹介先には、企画書を持ってプレゼンをしに行きました。企画書はいろんな人の企画書を参考にして、良いところだけ真似をして作りました。

(実際に協賛企業のプレゼンテーションに使用した資料の1ページ)

今年は西日本シティ銀行さんやピザクックさんなど、たくさんの企業さんに協賛金をいただき、予算300万円の内、150万円をクラウドファンディングで、残り150万円を企業協賛金で集めることができました。

集めたお金は、会場の利用料金とゲストへの出演費に使っています。

今年は規模の拡大とバリアフリーに対応するために、会場を電気ビルみらいホールに変更しました。ゲストの福祉団体のUbdobeさんとDJダイノジさんを呼ぶのにお金がかかりました。

Ubdobeさんは、デジリハといって、デジタルアートとリハビリをかけ合わせた活動をされています。僕は今、DJを練習しているのですが、まだ下手くそなんです。それで、プロの方にお願いしようということになりました。DJ選びは「みんなが楽しめるか」という点にこだわりました。

SNSに投稿した時に「協力するよ」といろんな方から言ってもらえたことは、本当に嬉しかったです。みんなの協力がないとやれないイベントなので。みんなが協力してくれることや、ポスターを貼ってくれることはすごく嬉しいですね。

なんでみんなが協力してくれるのか、はっきりとはわかりませんが、

こどもばんぱくは、スタッフも、出演者も、行政の方も、企業の方も「おもしろそう」と言ってくれています。その「おもしろそう」からつながりが広がっているんだと思います。

(数々のイベントや交流会に、手作りのクラウドファンディングの告知をぶら下げて参加した)


(今年のこどもばんぱくは企業協賛と、福岡県を始めとした行政や教育委員会の後援がある)

[こどもばんぱく情報]

こどもがつくるこどものためのワークショップイベント。
8月22日木曜日に、福岡市中央区「電気ビルみらいホール」にて開催。

子ども達による出店の他に、飲食ブースや、流行のeスポーツが導入される魅力満載のイベント。
「ぜひ、子どもの可能性を感じて行ってください!」と主催者の中井けんとさん。

PROFILE

自己表現家・イベンター こどもばんぱく主催
中井けんと さん

Qラボ編集部

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