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vol.10ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役 一般社団法人 国際平和映像祭代表理事/ピースデー・ジャパン共同代表
関根 健次さん

【後編】
社会課題の解決・世界平和の実現を人生のミッションに掲げ、ユナイテッドピープルの映画事業や、様々な活動に取り組む関根健次さん。東京から、福岡への移住を経て、その活動をさらに加速化させていく、今の思いについてお話を伺いました。

映画事業をする前までは、どのような事業をされていたのですか?

映画事業をする前までは、「イーココロ!」という募金サイトをやっていました。

クリックして企業サイトに行くと、無料で1円の寄付ができたり、買い物をして得たポイントが全部、自分が選んだ団体に寄付ができるサイトです。

ただ、一つの寄付先であった中東を数年おきに訪れると、訪れるたびに、寄付で立てられた学校や施設が、破壊されて無くなっていることがありました。寄付を行っているはずなのに、どんどん悪くなっていく現実を知り、これは仕組みが変わらないといけない、ということに気が付いたんです。
構造的な課題に対しては、対処療法ではなく、根本的な構造改革が必要だと。

根本的な構造改革の原点となるのは、人の心だと思っています。人の心は感動によって変えることができるので、その感動を与えるにはどうしたらいいんだ?
と考えたとき、答えの一つに映画がありました。なので、映画の力を信じて、募金サイトをやめ、映画事業にドライブをかけていったんです。

もちろん、寄付は引き続き必要だと、今でも思っています。

社会課題の解決という非常に難しいテーマに対し、精力的に活動をされている関根さんのエネルギーの源泉は、どういったところにあるのでしょうか?

学生の頃に、世界各地を旅した経験が大きいです。
その中で、人生を変えるショッキングな出来事が起きました。

中東の紛争地に行ったときに、何気なく現地の子どもたちに、どんな夢を持っているのかを聞きました。すると、13歳くらいの男の子が「ぼくは、将来爆弾の開発者になる。そして、ヒットラーのようにユダヤ人を大虐殺したい」と言ったんです。

日本で生まれ育ち、満たされた生活を送る、日本人の僕にとって、中東で起きている現実に直面し、世界の広さを思い知る一言でした。

同じ地球、同じ時を共有しているにも関わらず、世界のどこかでは、今日を生きるか生きられないか、分からない中で生きている人がいる。彼のように、家族が目の前で殺害されてしまい、憎しみや悲しみを抱えると、結果的に子供なのに戦争に行きたいとか、人を殺したいと思う夢を持つ子供になってしまう。その現実に直面したことが、人生を変えるターニングポイントです。

そして、世界中の子どもたちが、子どもらしい夢をもてるような世界に、変えないといけないと思いました。そのためには、戦争や紛争があってはいけないし、水すら普通に飲めないような環境はあってはならない。経済活動も含めて、人が平和な環境で、健康に生き抜くことができる、持続可能な世界を作っていかなくてはいけないと強く思いました。

そういう現実を見ているので、この運命からは逃げられないです。
この思いは、これからも変わることはありません。

これからやりたいことは、どんなことですか?

まずは、紛争や戦争が起きている地域の今助けを求めている人を、どうにかしないといけないと思っています。なので、戦争を起こしている構造の変革を、促していきたいです。

そのためには、外国人などを含めた多様な人たちに関心を持ち、他者を思いやる気持ちを持つことが必要だと思っています。構造の変革を起こすまでには、30年40年かかるかもしれない、遠回りなことかもしれませんが、非常に重要なことです。

なので、映画を活用して、直接的に外交に働きかけるような雰囲気・アクションを生み、構造の変革を加速化させていきたいと思っています。

そして、いろんな国の中の起きている、社会の課題を解決するアイデアを広げながら、平和を追求していきたいですね。

そうした取り組みの一つが「PEACE DAY(ピースデー)」なのですが、これを浸透させる活動にも取り組んでいます。

「PEACE DAY(ピースデー)」とはどんな活動なのでしょうか?

「PEACE DAY」は、1年に1日だけでも世界中で戦争を止めて、暴力を止めて、平和をお祝いしようとする日なんです。2001年に、国連本部が全会一致で決議しました。それ以来、毎年9月21日は「PEACE DAY」として、世界中で平和が祝われていて、全世界で20億人が参加する規模に広がっています。

こういう日ができると、戦争中であれば停戦するので、戦争で困窮した住民がいる地域に緊急支援物資が送れます。実際にアフガニスタンでは、政府とタリバンが戦っている時に「PEACE DAY休戦」と言われる停戦が行われました。

戦争中でなくても、国や企業、NPOといった団体が、この日に向け、平和につながる何かをやろうとするので、平和実現へのアクションが活発になります。

どういったきっかけで、「PEACE DAY(ピースデー)」の取組みを始めたのでしょうか?

国連の地下の本屋さんで、いろんな本やDVDを買ったとき「PEACE DAY」を作る過程を描いた、ドキュメンタリー映画があったんです。この日を作った本人である、イギリス人のジェレミー・ギリーさんが作った「ザ・デー・アフター・ピース」という映画です。

これを見て、飛び上がるくらい衝撃を受けました。
というのも、一人のイギリス人が、いきなり国連に乗り込んで「PEACE DAY」を作ろうと提唱をするんです。その映画と出会って、日本でも広めようと、僕自身がアクションを起こしました。

この活動は、8年位前から活動を始めていますが、日本ではまだまだ浸透していないので、今は仲間たちと「PEACE DAY JAPAN」という団体を立ち上げて活動しています。

「PEACE DAY JAPAN」では、どんな活動をされているのですか?

今年は、ジェレミーさんを日本に招いて、全国ツアーをやりました。幕張では、6500人規模のイベントを開催し、ジェレミーさんにスピーチをしてもらいました。このツアーは、多数のメディアに取り上げていただいたので、少しは日本でも広がったのかなと思っています。

<PEACE DAY 2018の様子>

実はジェレミーさんは、日本とかかわりの深い方なんです。

彼のおじいさんは、元イギリス軍の兵士で、日本軍と戦っています。その時、シンガポールで日本の捕虜になり、ビルマ(現在のミャンマー)に送られて強制労働をさせられたあと、福岡に送られて大牟田の捕虜収容所で終戦を迎えています。さらに、大牟田からイギリスに帰国されるとき、長崎の惨状も目にされたそうです。

そして、おじいさんは、その経験をジェレミーさんに語っています。それが、「PEACE DAY」を設立しようと思うきっかけのひとつになっているようです。また、おじいさんは戦争の経験を語るとき、日本人のことを悪くいうことはなく、許すことの大切さを教えてくれた、とジェレミーさんは言っていました。

そのような縁から、彼が来日した際、広島や長崎を訪問して、それぞれの市長と会談する機会を設けることができました。また、長崎にあった捕虜収容所跡を訪れた際には、被爆3世の日本人と手をつなぎ、花を手向けています。

その時、彼が言った、「世代を超えて、時代を超えて、僕たちイギリス人と日本人の二人が、ここで友達になれたことは、本当に凄いことだよね」という言葉は、強く印象に残っています。そして、この日本ツアーを「これまでの旅で、最も意味のある旅だった」と言ってくれました。

ジェレミーさんとのつながりは、どのようにできたのですか?

2010年頃に、私が「PEACE DAY」を日本で広めようと思うきっかけになった「ザ・デー・アフター・ピース」に、日本語字幕をつけて日本で公開したいと、直接連絡しました。それから、彼とのつながりを持ちました。

そして、日本公開の許可はOKを貰え、この映画を日本で公開するところから「PEACE DAY」を広める活動が始まっています。なので、映画事業とほぼ同時期に始めた活動となっています。

 

今後の「PEACE DAY JAPAN」の展開は、どんなことをお考えですか?

2020年の「PEACE DAY」に、20万人集めるような、大規模なイベントをやろうと、ジェレミーさんや、その他「PEACE DAY JAPAN」のメンバーと話しています。平和を目指す志でつながった皆さんと共に、活動を大きくすることで「PEACE DAY」を日本で広めたいと思っています。

最後に、関根さんにとっての「しあわせ」とはなんですか?

今その瞬間、一瞬一瞬をありがたく生きるということですかね。
感謝を持つ気持ちが、持てるってことは、しあわせだなぁと実感することだと思います。

今一瞬をありがたく、楽しく、美しく生きようと思えば、自分がやるべきこと、やりたいと思うことにつながり、夢に近づく。

それは究極的に、しあわせな状態なんだと思います。

[企業情報]
ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役 関根 健次
住所  福岡市西区今宿駅前1-15-18 3F SALT
設立 2002年7月5日
資本金 1,250万円
事業概要 映画輸入・配給・宣伝・制作事業

PROFILE

ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役 一般社団法人 国際平和映像祭代表理事/ピースデー・ジャパン共同代表
関根 健次さん

TEXT BY

Qラボ 研究員
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