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【福岡SUNS】アメリカンフットボールに九州から革命を起こす情熱

九州には、情熱を持つ人たちが沢山いる。そんな情熱に迫るQラボの連載。今回の情熱は、アメリカンフットボールチーム「イコールワン福岡SUNS」球団社長・監督・主将・プロアメフト選手を兼務する吉野至さん。九州からアメフトに革命を起こそうとしている情熱について取材しました。 (撮影:今林大造・インタビュー:中村圭) 

最初は趣味のはずのコーチが、気づいたら会社をやめていた 

中村:吉野さんは、福岡出身ではないそうですね。福岡に来られたキッカケはなんだったのでしょうか? 

吉野:たまたま 2011 年に福岡に仕事の関係で転勤してきたんです。関西出身だったので、九州全体には1人の友達もいない状態でした。それで、友達づくりも兼ねて西南学院大学でアメフトのコーチを始めたんです。 

基本的に転勤族の仕事だったので、まあ3、4 年ぐらい大学のコーチを楽しくやりながら、福岡生活を楽しむ予定でした。けれど2年目のシーズンが終わった時、当時の3年生から本腰をいれてやってもらえないかと言われたんです。 

当時、九州代表って全国大会に行っても、エリア的に最初に当たる東海代表にいつも 50  0 とかで負けるくらい弱かった。それで悔しくて学生が泣いてるみたいな状況が、ずっと続いてました。「まずは、そこに勝とう」っていうことで3年間集中してやったんですね。それで3年目に僅差ですが勝つことができて、初めて全国ベスト4になりました。個人的にはそこでかなりの達成感があったんです。 

関西に転勤で帰ることも考えていたんですが、さらに期待できるメンバーが入ってきて、彼らの行く末を見たいなという気持ちが出てきました。いろんなことを考えた結果、日本一を九州から目指せるんじゃないかと考え始めたんです。でも達成するためには、もっと毎日コーチをしないといけないし、チーム作りに集中しないといけない。そう色んなことを考えたら、仕事を辞めて本気でコーチをしようという結論になりまして。退社しました。 

中村:退社まで。すごい覚悟ですね。 

 

九州のアメフトの未来を考えたら、福岡SUNSが必要だった 

吉野:それからは、毎日大学の練習に行きました。でも、これも完全ボランティアだったんです。仕事はいわゆる完全歩合の保険代理店みたいなところに入って月に1日だけ働いて稼ぐ。後は毎日アメフトをしてるみたいな生活を送っていました。 

でもどんなに教えても「これ以上強くならないな」という壁を感じたんです。「原因はどこにあるんだろう?」と考えてみた時に、九州には2つの問題があったんですね。西南学院大学がずっと勝ち続けていて、ライバルがいない。あとは進路がないという問題です。先ほど言った全国ベスト4の世代も誰も社会人では続けなかったんですよ。結構そこは悔しい思いをしました。誰かがこの先を目指せる社会人チームを作らないといけない。誰がやるんだろう。「ああ、俺か」と。 

中村:ありがとうございます。アメフトのために会社をやめ、大学生の未来のために社会人チームをつくる。まるでドラマみたいな話を聞かせていただきました。その福岡SUNSというチームの魅力はどこにあるのか。教えていただいてもよろしいですか? 

吉野:そうですね。他の社会人のチームって、いわゆる実業団なんですよ。会社の部活動みたいなところを起源としてやってるチームがほとんどです。多分ウチぐらいですね。完全なクラブチームとして発足したのは。50人が集まって「1人年間20万出し合うみたいなシーズンになるけどやる?」というようなスタートだったんです。 

まあ、そういう意味では最初はスポンサーがいなかったからこそ、「本当にアメフトがやりたい」「絶対に勝ちたい」「九州から革命を起こしたい」という、選手だけが50人集まりました。多分そんなスタートだったのが、いま考えると良かったんだろうなと思います。 

楽しいだけじゃないスポーツですし、勝つためにいろんなことをやる。その中で全員が「福岡のここしかない中でやる」って自分で決めた男たちなのが、チームの一番の魅力なのかなと思ってます。 

九州からアメフトに革命を起こす 

中村:先ほど「九州から革命を起こしたい」という気持ちがあるとおっしゃっていましたが、九州からの革命というのは具体的に言うと、どういうことなんでしょうか? 

吉野:そうですね。このアメリカンフットボールっていうスポーツ自体が、特性としてありえないぐらい関西と関東に偏っているんですね。僕も関西にいた時に、九州ではどの大学が優勝したかなんて正直知りませんでした。 

あとは、九州のチームと試合をしたとしても、関西のチームなら三軍でも勝てるだろうっていうぐらい差があったんです。甲子園ボウルも当時は関東と関西で1位を決める大会で、九州はそもそも全国大会の枠にさえ入ってなかった。そんなスポーツだったんで、九州には強い社会人チームもなかったし、ましてやいま福岡SUNSが、「X1SUPER」に昇格しようとしてること事態が、もう革命が起こってるとも言えます。 

X1SUPER」はアメフトの最上位のリーグ。現在、関西、関東のチームしかおらず、ここに福岡SUNSが入ろうとしてることが、すでに異常事態なんだそうです。 

  

アメフトを関西・関東のスポーツから全国のスポーツへ 

中村:僕たち九州博報堂は「地域の情熱たちと、未来をつくる」というパーパスを掲げています。吉野さんは、この地域からどんな未来をつくっていきたいですか? 

吉野:アメフトを関西・関東のスポーツから全国のスポーツにしたいと思っています。福岡SUNSが地方の成功モデルの一つになれば、他の地方都市の広島だったり、仙台だったり、北海道だったりと、このパッケージを真似して同じことができる。 

なので、まずは「九州として成功させないと」という思いは凄く強いです。他の地域の人たちを勇気づけられるような成功例になりたい。例えばウチのチームが資金繰りが上手くいかず解散しましたなんてことになると「やっぱ無理だよね」「関西や関東のチームじゃないとアメフトはできないよね」っていう流れになってしまう。この九州で基盤をしっかり持ち、地元に密着したチームをまずは作っていきたいです。 

20211121日にある重要な試合 

中村:ありがとうございます。最後の質問なんですが、1121日に非常に重要な一戦があるとお聞きしました。この試合の意味や見所について教えていただいてもよろしいでしょうか? 

吉野:はい。やはり1番は、「X1SUPER」への昇格が、かかっていることです。本当に勝つことに夢がある試合なので、そういう意味では観ている人にとっても面白い試合になると思ってます。2つ目が、九州はアメリカフットボールを見たことがない人がおそらく99.9% です。ここでたくさんの人に見ていただいて、その人たちがアメリカンフットボールを見て何を感じてくれるか。それが、すごい重要だと思ってます。 

だから、ホークスの「鷹の祭典」とのコラボ企画をしますし、ちょっとした飲食ブースも出します。ハーフタイムショーや、入場を盛り上げたり、新しいグッズも作ったりと、色んなことを企画してまして。とにかく楽しんでもらえる1日になるように、いろいろ考えています。 

勝って、もちろん昇格する。そして、見てくださった方たちが「来年のホームゲームいつかな?」と楽しみにしてくださるような1日にしたいと思ってます。 

11月21日の試合のチケットはこちらから

TEXT BY

コピーライター
中村 圭

2007年、博報堂入社。TBWA\HAKUHODO、ID局などを経て、2016年より九州支社、2020年九州博報堂へ。受賞歴は、カンヌ金賞、アドフェストグランプリ、ACCゴールド、福岡広告協会賞ゴールド、鹿児島広告賞グランプリなど。九州の自然を愛し、酒を愛し、熱い人々を愛す。

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